永田康祐インタビュー。ロジックと偶然のあいだで、ナラティヴのかたちを探る(文:中島良平)
概要
愛知県生まれ、神奈川県を拠点に活動するアーティスト・永田康祐は、映像、写真、パフォーマンス、インスタレーションなど手法を横断しながら、自己と他者、自然と文化、身体と環境といった二項対立や、そこに潜む曖昧さに関心を寄せて制作を続けている。「食べること」や「翻訳」「発酵」といった身近な営みを起点に、人間と世界がどう関わり合っているのかを問い、近年は食文化におけるナショナル・アイデンティティの形成や、食事作法における身体技法や権力関係などを、ヴィデオエッセイやコース料理形式のパフォーマンスとして発表している。
主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2019:情の時代」(2019)、「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022)、「野良になる」(十和田市現代美術館、2024)、「恵比寿映像祭2025『Docs ―これはイメージです―』」(2025)などがある。2019年の「あいちトリエンナーレ」への参加をきっかけに、アートの文脈で映像作品を発表してきた永田の代表作6点を一挙に上映する特集上映「Fire in Water 永田康祐映像作品集」が、8月22日よりポレポレ東中野を皮切りに、各地の映画館で展開される。
インタビューでは、最初の映像作品《Translation Zone》(2019)と《Purée》(2020)について、論文調のテキストを淡々と読み上げる声に映像が寄り添うスタイルの経緯が語られている。美術大学で建築を学び、工学系の研究室で働いた後、彫刻や写真を経て映像制作に至ったという永田は、「あいちトリエンナーレ」への参加を機に、たまった食べものに関するメモをもとに長めのエッセイを書き、苦し紛れにそれを読み上げて映像をつけることで作品を仕上げたと振り返る。単位時間あたりの情報量が多い作品でありながら、料理をしている映像が持つ「ぼーっと見ている」ような性質が、観る者の内的な対話や余白を生み出すと語っている。
(出典:Tokyo Art Beat)