内田伸一|日本の巡回美術展のこれまで・これから[前編]
概要
本記事は、1898年に日本美術院が開始した地方巡回展を起点に、戦前・戦後の政府主導展、メディア主催展、そして美術館連絡協議会(美連協)の設立と発展を辿り、近年の新型コロナウイルス感染拡大による影響と美連協の事務局業務停止・組織再編を詳述する。美連協は公立美術館の連携を促進し、資金調達・広報支援を行い、1997年度には巡回展数がピークに達したが、2021年度からは新規展が大幅に減少し、2022年度に事務局業務を停止。再編後は公立限定を解消し、非加盟館も含む柔軟な運営へ移行。記事は、巡回展のメリット(多館協力による企画実現・研究深化)と課題(メディア主導での動員偏重、予算管理の複雑さ、学芸員の自主性低下)を提示し、今後の展望として、企業・プラットフォームの代替ネットワークや自治的連携の可能性を示唆している。
(出典:artscape)