村田真|美術遊歩13──壁画、ミューラル、仮囲いアート
概要
本稿は、日本の公共空間における芸術の形態が、伝統的な「壁画」から、ストリートアートに近い「ミューラル」、そして期間限定の「仮囲いアート」へと変遷してきた過程を考察しています。
著者は、上野駅にある猪熊弦一郎の《自由》や渋谷駅の岡本太郎《明日の神話》といった歴史的な壁画の修復をきっかけに、都市における表現のあり方を考察します。かつての壁画は建物と一体化した重厚なものでしたが、近年のミューラルはグラフィティ文化を背景に持ち、都市の景観を彩るカジュアルなものへと変化しています。
さらに、再開発現場の仮囲いを利用した「仮囲いアート」についても触れ、作品の寿命が短縮し、物理的・精神的に「軽くなって」いく現代の傾向を指摘しています。最後に、横浜のグラフィティの先駆者であるロコ・サトシの功績を振り返り、表現の形式が変化しても、その内容には深みが求められるべきであると結んでいます。
(出典:artscape)